
正直に言います。1ヶ月前の私は、ChatGPTのことを「なんか賢いやつ」くらいにしか思っていませんでした。
テレビのニュースで名前は聞いたことがある。職場の山田くん(26歳)がよく使っているのも知っている。
でも、自分が使うとなると、なんとなく敷居が高くて、なんとなく怖くて、なんとなく「私には早いかな」と思って、ずっと後回しにしてきました。
そんな私が、ひょんなことから1ヶ月、毎日触り続けることになりました。
きっかけはあの「丸投げ事件」(以前の記事に書いた、上司に怒られた件です)の反省から。ちゃんと使えるようになろうと思ったわけです。失敗しないと動けない、典型的な40代です。
結論から言うと、劇的な変化はありませんでした。ドラマのように仕事がサクサク進むようにもなっていないし、残業がゼロになったわけでもない。
でも、じわじわと、3つのことが変わった気がしています。今日はそれを、正直に書いてみます。
そもそも、最初の1週間は何もできなかった話

変化の話の前に、まず最初の1週間の話をさせてください。
アカウントを作って、画面を開いて、チャット欄に向かった私は……固まりました。
何を書けばいいのかわからない。「なんでも聞いてください」と言われているのに、何を聞けばいいのかわからない。学生時代、白紙の作文用紙の前でペンが止まるあの感覚と、全く同じです。
とりあえず「こんにちは」と打ってみました。丁寧に返事が来ました。次に何を書くかわからなくて、画面を閉じました。
翌日、「今日の夕食のレシピを教えてください」と打ちました。冷蔵庫にあるものを書いたら、ちゃんとレシピを出してくれました。それは助かったけれど、「これって仕事に使えているのか?」という疑問が残りました。
「AIを使いこなす」という以前に、「AIに何を頼むか」が全くわかっていなかった。そこが最初のつまずきポイントでした。
山田くんに「最初、何を聞けばいいかわからなくて」と正直に話したら、「あー、最初はそうなりますよね。業務で困っていることをそのまま書いてみるのが一番早いと思います」と言われました。
なんだ、そんなことか。でも、それを教えてくれる人が周りにいなかったら、きっとそこで挫折していたと思います。
最初の1週間は、ほぼそういう試行錯誤で終わりました。
変化① 「書くこと」への苦手意識が、少しだけ薄れた

は昔から、文章を書くのが得意じゃありませんでした。
報告書を書くとき、議事録をまとめるとき、取引先へのメールを書くとき。いつも「どう書き始めればいいか」で詰まって、書き直して、また詰まって。人より時間がかかるのがずっとコンプレックスでした。
2週目から、まずここに使ってみることにしました。「こういう内容のメールを書きたいんだけど、うまく言葉が出てこない」と、箇条書きで用件をざっと打ち込んで、「メール文にしてください」とお願いする。すると、ドラフトが出てくる。
最初は「これをそのまま使っていいのか」と不安で、結局全部書き直していました。でも、何度か繰り返すうちに、「たたき台があると、格段に書きやすい」ということに気がつきました。
ゼロから言葉を絞り出すのと、一度形になったものを整えるのは、頭の使い方が全然違う。後者のほうが、私には圧倒的に楽だったんです。
今は、AIのドラフトをほぼ毎回自分の言葉に書き直しています。口調が固すぎたり、うちの会社の雰囲気と合わなかったりすることが多いので。でも、「書き始め」の壁がなくなったことで、メールを書くのに費やしていた「うーん…」の時間が、体感で半分くらい。
小さいことに思えるかもしれないけれど、これが積み重なると一日がけっこう変わる。それは素直に、ありがたかったです。
ただし、落とし穴もありました
調子に乗って、取引先へのお断りメールをAIのドラフトほぼそのままで送ってしまったことがあります。文章自体はきれいだった。
でも、読み返したら、どこかよそよそしくて、長年お付き合いしている方への温度感じゃなかった。
後から「あのメール、少し雰囲気が違いましたね」と、やんわり言われてしまいました。きれいな文章と、温かい文章は、イコールじゃない。それを実感した出来事でした。
変化② 「調べ方」が変わった。でも、信じすぎると怖い

1ヶ月前まで、何か調べたいことがあると、まずGoogleで検索して、上から順番にリンクを開いていく、という方法をずっと使っていました。それしか知らなかったから。
ChatGPTを使い始めて、ちょっと変わりました。
たとえば、社内で「〇〇という制度について確認してほしい」と言われたとき。以前は検索して複数のサイトを行ったり来たりして、どれが正しいのかよくわからないまま時間だけが過ぎていた。
今は、まず「〇〇制度について、概要をわかりやすく教えてください」とChatGPTに聞いてから、大枠をつかんで、その後で公式サイトや一次情報を確認する、という順番にするようになりました。
「概要を掴んでから詳細を確認する」という調べ方に変わったことで、迷子になる時間が減った気がします。
ただ、これには副作用もありました。
3週目のある日、法改正に関することをChatGPTで調べて、そのまま上司に報告してしまいました。後から確認したら、情報が古かった。ChatGPTには「知識のカットオフ」というものがあって、ある時点より後の情報は持っていない、ということを、そのとき初めてちゃんと理解できたんです。
山田くんに話したら「法律とか最新の情報は、必ず公式で確認しないとですね」と、またあっさり言われました。知っていれば当たり前のことも、知らないと罠になる。
IT音痴の私には、その「当たり前」がまだまだ抜けているんだと、改めて思い知らされました。
便利なんだけど、全部信じてはいけない。この「距離感」を掴むのが、一番難しかったです。
変化③ 「自分が何を言いたいか」を、考えるようになった
これが、1ヶ月で一番予想外だった変化です。
ChatGPTに何かお願いするとき、「ちゃんと伝わる言葉」で書かないと、思い通りの答えが返ってこないことに気づきました。「なんとなくいい感じで」とか「うまくまとめて」とか、ふわっとした指示だと、ふわっとした答えが来る。
「誰に向けて」「何のために」「どんな形で」それを自分の中で整理してから入力しないと、使い物にならない。
最初はそれが面倒でした。「AIって、もっと察してくれるものじゃないの?」と思っていた。でも、何度か使ううちに、「ちゃんと言語化する」という作業が、実は仕事の質そのものに直結していることに気づきました。
たとえば報告書を書くとき。以前の私は「なんとなく頭の中にあること」をそのまま文章に落とそうとして、うまくいかずに詰まっていた。でも今は、AIに伝えるつもりで「誰に・何を・なぜ伝えるか」を先に整理してから書き始めるようにしました。すると、以前より文章の迷子になりにくくなった気がする。
AIを使いながら、「自分で考える力」を鍛えられているのかもしれない。正直、これは全く想定していなかった副産物でした。
でも、疲れている夜はそれさえできない
夕方、目がかすんで肩が凝り固まった状態で画面に向かうと、「整理して入力する」という作業すら億劫になります。「もういいや、なんとかして」とふわっと打ち込んで、ふわっとした答えをもらって、「やっぱり使えないな」と思う。
そういう夜が、1ヶ月の中で何度かありました。AIは魔法じゃない。疲れた頭の代わりに考えてくれるわけじゃない。それをじわじわと実感しています。
1ヶ月使ってみて、私が出した結論
劇的には変わっていません。それが正直なところです。
相変わらず夕方には目がかすむし、メールの書き出しで詰まることもあるし、山田くんのようにすらすら使いこなせているとは、到底言えない。
ただ、「怖いもの」ではなくなりました。それだけで、1ヶ月やってきた意味があったと思っています。
使えば使うほど、「AIにできること」と「AIにできないこと」の輪郭が、少しずつはっきりしてきます。そしてそれは、「自分にしかできないこと」を浮かび上がらせてくれる作業でもある気がします。
40代の私が長年かけて積み上げてきた「現場感覚」や「人との空気を読む力」は、まだしばらく、AIには出せないんじゃないかと思っています。根拠はないけれど、そう信じていたい気持ちもある。
IT音痴のまま、完璧に使いこなせないまま、それでも少しずつ触り続けていこうと思います。同じように「乗り遅れた気がして焦っている」という40代の方がいたら、一緒にゆっくりやっていきましょう。
来月も、きっとまた何か失敗します。それもここに書きに来ます。
読んでくれてありがとうございました。