
会議が終わるたびに、議事録作成に追われていませんか。参加者の発言を正確にまとめ、決定事項を整理し、次のアクションまで明記する作業は、想像以上に時間と労力がかかるものです。そこで注目されているのが、ChatGPTを活用した議事録作成です。しかし、ただ「議事録を作って」と指示するだけでは、期待どおりの出力は得られません。
この記事では、ChatGPTで正確な議事録を作成するためのプロンプトの書き方を、5つの魔法として体系的に解説します。実務で使えるテンプレートや具体例も豊富にご紹介しますので、今日から議事録作成の効率を大幅に向上させることができます。上司や同僚から「この議事録、よくまとまっているね」と言われる日も近いかもしれません。
結論:5つの要素を押さえたプロンプトが正確な議事録を生む

ChatGPTで正確な議事録を作成するためには、役割・入力データ・出力形式・制約・検証の5つの要素を明確にしたプロンプトを作成することが核心となります。
これは、リコー、マネーフォワード、Rimoなど、実務系の解説記事で共通して指摘されているポイントです。単に「会議内容をまとめて」と指示するのではなく、ChatGPTに対して具体的な役割を与え、必要な情報を過不足なく提供し、どのような形式で出力してほしいかを明示することで、ビジネス文書として使える品質の議事録が生成されます。
また、生成AIは便利なツールですが、会議の空気感や非言語情報、専門的な文脈の解釈は完全ではありません。そのため、最終的には人間による確認が必須であることも押さえておく必要があります。
なぜプロンプトの質が議事録の精度を左右するのか

ChatGPTは、与えられた指示に基づいて文章を生成するAIです。指示が曖昧であれば出力も曖昧になり、指示が具体的であれば出力も具体的になります。議事録作成においてプロンプトの質が重要な理由を、詳しく見ていきましょう。
AIは「行間を読む」ことが苦手である
人間の議事録作成者であれば、会議の文脈を理解し、「この発言は決定事項だな」「これは単なる雑談だな」と判断できます。しかし、ChatGPTにはそのような暗黙の理解力がありません。
たとえば、会議で「来週までに資料を用意しておきましょう」という発言があった場合、人間であれば誰がどんな資料を用意するのかを文脈から推測できることがあります。一方、ChatGPTは指示がなければ、このような推測を行いません。プロンプトで「決定事項には担当者と期限を明記すること」と指示しておくことで、初めてこの課題に対応できるようになります。
出力形式を指定しないと読みにくい議事録になる
ChatGPTに出力形式を指定しない場合、長文の文章形式で回答が返ってくることがあります。議事録として使う場合、箇条書きや見出しで構造化された形式のほうが圧倒的に読みやすくなります。
「300字以内で要約」「決定事項は太字で記載」「アクションアイテムは担当者・期限を含めてリスト化」といった具体的な指示があることで、社内で共有しやすい形式の議事録が生成されます。
役割を与えることで出力の方向性が安定する
「あなたはプロの議事録作成者です」という一文をプロンプトの冒頭に加えるだけで、ChatGPTの出力品質が向上することが知られています。これは、AIに明確な役割を与えることで、その役割にふさわしい文体や構成で回答しようとする傾向があるためです。
役割指定は、議事録以外のビジネス文書作成においても効果的な手法とされています。
正確な議事録を作る5つの魔法

ここからは、ChatGPTで正確な議事録を作成するための5つのプロンプト技術を、具体的に解説します。これらを「魔法」と呼んでいるのは、適切に使えば劇的に出力品質が向上するためです。
魔法1:役割指定で出力の方向性を定める
プロンプトの冒頭で、ChatGPTに明確な役割を与えます。これにより、AIは指定された役割にふさわしい文体、構成、情報の取捨選択を行うようになります。
推奨する役割指定の例:
- 「あなたはプロの議事録作成者です」
- 「あなたは企業の経営会議の書記担当です」
- 「あなたは正確性を重視するビジネス文書作成の専門家です」
役割指定のポイントは、具体的かつ業務に即した役割を設定することです。「文章を書く人」のような漠然とした役割よりも、「議事録作成者」「書記担当」といった具体的な役割のほうが、出力の精度が高まります。
魔法2:入力情報を完全に指定する
議事録の品質は、入力するデータの品質に大きく依存します。会議の文字起こしをそのまま貼り付けるだけでなく、以下の情報を併せて提供することが重要です。
入力すべき情報リスト:
- 会議の日時
- 開催場所(オンラインの場合は使用ツール)
- 参加者名(役職があれば併記)
- 会議の目的・議題
- 会議の文字起こしまたはメモ
- 事前に決まっていた議題(あれば)
入力情報が具体的であればあるほど、出力される議事録の抜け漏れが減少します。特に、参加者名と議題は、議事録の基本情報として必須です。
また、文字起こしデータの精度も重要です。聞き取りにくい部分がそのまま残っていると、AIが誤った解釈をする可能性があります。可能であれば、文字起こしの段階でノイズ除去や固有名詞の補足を行っておくと、議事録の精度が向上します。
魔法3:出力フォーマットを固定する
ChatGPTの出力形式を明確に指定することで、読みやすく、社内で共有しやすい議事録が生成されます。
出力形式の指定例:
- 「箇条書きで記載すること」
- 「要約は300字以内にまとめること」
- 「決定事項は太字で強調すること」
- 「見出しを使って構造化すること」
- 「アクションアイテムは表形式で記載すること」
出力形式を固定することの利点は、毎回同じフォーマットの議事録が生成される点にあります。これにより、過去の議事録との比較や、チーム内での情報共有がスムーズになります。
また、企業によっては議事録のテンプレートが決まっている場合があります。そのテンプレートに合わせた出力形式を指定しておけば、後から整形する手間も省けます。
魔法4:ToDo抽出命令で実務価値を高める
議事録の真の価値は、会議内容の記録だけでなく、「次に何をすべきか」を明確にすることにあります。決定事項やアクションアイテムを自動的に抽出させるプロンプトを設定しましょう。
ToDo抽出の指示例:
- 「決定事項を箇条書きでまとめること」
- 「アクションアイテムには担当者名を明記すること」
- 「各タスクには期限を記載すること」
- 「未決事項があれば別途リストアップすること」
担当者と期限まで明記させることで、会議後のフォローアップが格段に楽になります。「誰が何をいつまでにやるのか」が一目でわかる議事録は、チームの生産性向上に直結します。
魔法5:検証ルールで品質を担保する
AIが生成する議事録には、誤情報が混入するリスクがあります。特に、数値や固有名詞、専門用語については注意が必要です。検証ルールをプロンプトに含めることで、このリスクを軽減できます。
検証ルールの指示例:
- 「聞き取れない箇所は『不明』と記載すること」
- 「感情的な表現は使用しないこと」
- 「主観的な解釈を加えないこと」
- 「数値データは原文のまま記載すること」
- 「推測で補完しないこと」
「不明箇所は不明と記載する」という指示は特に重要です。AIが推測で情報を補完してしまうと、事実と異なる内容が議事録に含まれる可能性があります。不明な点は不明と明記させることで、後から確認すべき箇所が明確になります。
具体例:5つの魔法を組み合わせた実践プロンプト

ここでは、5つの魔法をすべて組み合わせた実践的なプロンプトの例をご紹介します。実際の業務でそのまま使えるテンプレートとして活用してください。
基本テンプレート
以下は、汎用性の高い議事録作成プロンプトのテンプレートです。
プロンプト例:
あなたはプロの議事録作成者です。以下の会議情報と文字起こしをもとに、議事録を作成してください。
【会議情報】
・日時:[日時を入力]
・場所:[場所を入力]
・参加者:[参加者名を入力]
・議題:[議題を入力]
【文字起こし】
[ここに文字起こしを貼り付け]
【出力形式】
・概要:200字以内で会議全体を要約
・議論内容:議題ごとに箇条書きで整理
・決定事項:太字で強調し、箇条書きで記載
・アクションアイテム:担当者と期限を含めて表形式で記載
・未決事項:次回持ち越しの議題があれば記載
【制約】
・事実のみを記載し、主観的な解釈は加えないこと
・感情的な表現は使用しないこと
・聞き取れない箇所は「不明」と記載すること
・数値は原文のまま記載し、推測で補完しないこと
営業会議向けプロンプト
営業会議では、売上数値や顧客名、案件の進捗状況が重要な情報となります。これらを確実に抽出できるようカスタマイズしたプロンプトを使用します。
プロンプト例:
あなたは営業部門の議事録担当者です。以下の営業会議の内容をもとに、議事録を作成してください。
【会議情報】
・日時:2025年1月15日 10:00-11:30
・場所:会議室A(一部オンライン参加あり)
・参加者:山田部長、佐藤課長、田中、鈴木
・議題:月次売上報告、新規顧客獲得戦略
【文字起こし】
[ここに文字起こしを貼り付け]
【出力形式】
・会議概要:150字以内
・売上報告:数値データを正確に記載
・顧客別の進捗:顧客名・案件内容・ステータスを表形式で
・決定事項:太字で箇条書き
・アクションアイテム:担当者・期限・内容を表形式で
【制約】
・売上数値は原文のまま記載すること
・顧客名は正確に記載し、推測で補完しないこと
・不明な箇所は「要確認」と記載すること
プロジェクト進捗会議向けプロンプト
プロジェクト進捗会議では、タスクの進捗状況、課題、リスクの把握が重要です。これらの情報を漏れなく抽出できるプロンプトを設計します。
プロンプト例:
あなたはプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)の議事録担当者です。以下のプロジェクト進捗会議の内容をもとに、議事録を作成してください。
【会議情報】
・日時:[日時を入力]
・プロジェクト名:[プロジェクト名を入力]
・参加者:[参加者名を入力]
【文字起こし】
[ここに文字起こしを貼り付け]
【出力形式】
・進捗サマリー:全体の進捗状況を200字以内で要約
・タスク別進捗:タスク名・担当者・進捗率・ステータスを表形式で
・課題・リスク:発生している課題とリスクを箇条書きで
・決定事項:太字で箇条書き
・次回までのアクション:担当者・期限・内容を表形式で
【制約】
・進捗率は報告されたデータのみを記載すること
・課題とリスクは区別して記載すること
・推測による判断は加えないこと
出力例の確認と修正依頼
ChatGPTが生成した議事録は、必ず内容を確認してください。修正が必要な場合は、具体的に指示を出すことで精度を高められます。
修正依頼の例:
- 「決定事項の3番目について、担当者を山田さんから佐藤さんに修正してください」
- 「アクションアイテムの期限が抜けています。すべてのタスクに期限を追記してください」
- 「概要が長すぎます。150字以内に短縮してください」
このように、具体的な修正指示を出すことで、効率的に議事録を完成させることができます。
よくある失敗と対策

ChatGPTで議事録を作成する際に陥りやすい失敗と、その対策をご紹介します。
失敗1:文字起こしの精度が低い
入力する文字起こしデータの精度が低いと、議事録の品質も低下します。聞き取りにくい部分が多い場合や、複数人が同時に話している部分がある場合は特に注意が必要です。
対策:
- 文字起こしツールを使用して精度を高める
- 固有名詞や専門用語は事前に補足情報として提供する
- ノイズ(相槌、言い淀みなど)を事前に除去する
失敗2:プロンプトが曖昧で出力がブレる
「議事録を作って」のような曖昧な指示では、毎回異なる形式の出力が生成される可能性があります。
対策:
- 出力形式を具体的に指定する
- テンプレートを作成して毎回同じプロンプトを使用する
- サンプル出力を提示して「このような形式で」と指示する
失敗3:AIの出力を無確認で使用する
これが最も危険な失敗です。AIは事実と異なる情報を生成することがあり、特に数値や固有名詞については注意が必要です。
対策:
- 生成された議事録は必ず人間が確認する
- 数値データは原資料と照合する
- 決定事項は会議参加者に確認を依頼する
- 不明箇所は「不明」と記載させ、後から確認する
文字起こしツールとの組み合わせで精度向上
2025年現在、ChatGPT単体での議事録作成よりも、文字起こしツールとAI要約を組み合わせる方法が主流となっています。
推奨されるワークフロー
以下のようなワークフローで、精度と時短を両立できます。
- 会議を録音する
- 文字起こしツールで音声をテキスト化する
- テキストをノイズ除去・固有名詞補足などで整備する
- 整備したテキストをChatGPTに入力して議事録を生成する
- 生成された議事録を人間が確認・修正する
文字起こしツールを使用することで、手作業での文字起こしに比べて大幅に時間を短縮できます。また、専用ツールは話者の識別機能を持つものもあり、「誰が何を発言したか」を明確にできる点もメリットです。
入力データの整備が鍵
文字起こしデータをそのままChatGPTに入力するのではなく、以下の整備を行うと精度が向上します。
- 「えー」「あのー」などの言い淀みを削除する
- 聞き取りにくい部分を「不明」と明記する
- 固有名詞(人名、社名、製品名など)を正確に補足する
- 話者名を明記する(「山田:〜」のように)
このような入力側の整備が、AI要約の精度向上の鍵として専門家の間でも注目されています。
まとめ:5つの魔法で議事録作成を効率化
ChatGPTで正確な議事録を作成するためのポイントを、改めて整理します。
5つの魔法の要点:
- 役割指定:「あなたはプロの議事録作成者です」と明示する
- 入力情報の完全指定:日時・参加者・議題・目的・決定事項をセットで渡す
- 出力フォーマット固定:箇条書き、見出し、文字数、太字ルールを指定する
- ToDo抽出命令:決定事項と担当者・期限まで出力させる
- 検証ルール:「不明箇所は不明」「感情表現禁止」「数値確認」を入れる
これらの要素をプロンプトに盛り込むことで、ビジネス文書として使える品質の議事録が生成されます。
ただし、最終確認は必ず人間が行うことを忘れないでください。AIは便利なツールですが、会議の文脈や専門的なニュアンスを完全に理解することはできません。生成された議事録は、あくまで下書きとして扱い、確認・修正を経て完成させるのが安全な運用方法です。
今日から実践してみてください
議事録作成に時間を取られている方は、ぜひ今日から5つの魔法を試してみてください。最初はテンプレートをそのまま使い、慣れてきたら自社の会議形式に合わせてカスタマイズしていくのがおすすめです。
プロンプトを少し工夫するだけで、議事録作成の時間を大幅に短縮できます。その分の時間を、より創造的な業務や、会議で決まったアクションの実行に充てることができます。
まずは次の会議から、この記事でご紹介したプロンプトを使ってみてはいかがでしょうか。きっと、議事録作成に対するストレスが軽減されるはずです。